「心臓・肺」血液成分のチェック

血液循環の要

いくら血液の状態がよくても、全身に届かなければ意味がありません。だから、血液を送り出す役目を果たしている心臓は、血液にとってもっとも重要な臓器といえるでしょう。

しかし、心臓が元気に働き、血液が全身に届いたとしても、十分な酸素を含んだ血液でなければ役に立ちません。だから血液に酸素を与える肺もまた、心臓に並んで重要な臓器といえます。
心臓は規則正しいリズムで収縮と拡張をくり返し、全身に血液をくまなく送り出すポンプ作用を、一時も休むことなく営んでいます。

肺は、呼吸によって送り込まれた酸素を血液に与え続けています。血液を循環させる働きを「心肺機能」といいますが、これは心臓と肺が互いに協力しあって、全身に新鮮な血液を送り出しているからにほかなりません。

心肺機能が十分でなければ、きれいな血液は保てません。逆に、きれいなかなめ血液を保てないと、血液循環の要である心肺、とりわけ心臓に負担がかかるようになります。血液の汚れが血管の傷みを引き起こせば、なおさら悪影響は大きくなってしまうのです。

新鮮な血液をポンプで押し出す

心臓には上下左右に4つの部屋があり、上の部屋を「心房」、下の部屋を「心室」といいます。左 右の部屋は中隔かくという壁 によ って完全 にへ隔だてられて います が、上下の部屋の間には弁べんがあり、上の部屋から下の部屋からへの一方通行で、血液が流れ込みます。

  1. 肺で酸素を取り入れた血液と、老廃物を取り込んで全身から戻ってきた血液は、心房の収縮によつて、心室に送り込まれる
  2. 心室がいっぱいになると心房・心室間の弁が閉じる。心室が収縮して、内圧が高まると、大動脈・肺動脈へ続く弁が開き、血液が全身と肺に、それぞれ送り出される
  3. 心室が拡張を始めると、心房に血液が流入する
第2の心臓は足裏にある

人間が立っているとき、足の先から心臓の位置までは、およそ1mあります。足の先まで酸素を届けた血液は、重力に逆らって、心臓までの距離を上っていかなければなりません。その流れを促しているのは、静脈に接している足の筋肉の動きです。筋肉の動きが静脈にポンプ作用をもたらすことで、静脈血の流れはスムーズになります。
「足は“第二の心臓」といわれますが、ただじっと座っているだけではポンプの働きはしてくれません。動いてこそ、「第二の心臓」になるのです。

「骨髄」血液成分のチェック

きれいな血液には、末な骨と内臓が必要

骨と血液には密接な関係があります。というのも、骨は血液の主要成分である赤血球や白血球、血小板の「製造工場」なのですから。

白くてかたい骨は、サラサラ流れる血液とは対極のもののような印象があるでしょう。だから、血液が骨から生まれるなんて聞くと、ちょっと不思議な感じがするかもしれません。
たしかにイメージする白い骨自体が血球を生みだしているわけではありません。正確には、骨の中央を満たしているやわらかい組織、骨髄が造血器官として働いているのです。

赤血球、白血球、血小板は、形も働きもまったく異なりますが、もとをどれば同じもの。骨髄の造血幹細胞から生まれ、分化したものです。だから、骨は正確にいえば骨髄の造血機能がきちんと働いていることが、きれいで、健康な血液をつくる大前提といえます。

すべての血球のもとは骨の中にある

血球や血小板、また白血球の顆粒球と単球は、造血醐胞から分萄化した骨髄系幹細胞から生まれ、骨髄の中で育ったあと、血管の中に旅立っていきます。白血球のうちリンパ球は、造血幹細胞から分化したリンパ球系幹細胞から生まれます。

血液のガンは骨髄の問題

白血病や再生不良性貧血といった、いわゆる「血液のガン」は、骨髄の造血機能が、なんらかの理由で正常に働かなくなったために起こります。
白血病は、未熟な白血球が骨髄の中で異常に増殖し、正常な白血球細胞の増殖が抑えられてしまう病気。再生不良性貧血は、造血幹細胞が減少し、赤血球、白血球、血小板がいずれもいちじるしく減少してしまう病気です。

ガン予防のための習慣

「血漿」血液成分のチェック

必要な物質もゴミも運ぶ液体

血球以外の液体成分である血漿。そのおよそ9割は水分でタンパク質や脂質、ブドウ糖、ホルモン、血小板とともに働く血液凝固因子など、命に欠かせない必要物資を溶かし込み、体中に運ぶ役割をしています。
もちろん、血漿そのものは運ぶものを決めることができません。
なんだって運ぶのです。
食べ過ぎが続いたり、消化・吸収の働きが低下していると、糖や脂肪がかたまりになって血漿の中を浮遊します。こうした浮遊物はプラークと呼ばれます。プラークはなんの役にも立たないごみです。

たとえ必要な成分でも、増えすぎればいいことはありません。みな血漿中に漂う汚れになってしまいます。血液がきれい・汚れているという判断は、血渠が運ぶ荷物の種類や状態、量によるわけです。

なお、「血清」という言葉も、よく見聞きすると思います。試験管に入れた血液を放置しておくと、下のほうに血球などの固形成分がたまってかたまります。
このかたまりには血液凝固因子も含まれています。上澄みの液体が血清です。つまり、血祭から血液凝固因子が除かれたものが血清です。一般におこなわれる血液検査では、この血清が含む、いろいろな物質の有無、量を調べているのです。