動脈瘤 血液の逆流がまねく静脈のコブ

足の静脈がぼこっとコブのように浮き出る静脈瘤。中年以降の子どもを産んだ経験のある女性に多くみられます。静脈の血液の流れにくさが、コブのもとになってしまいます。

長時間の立ち仕事は避ける

静脈には、逆流を防ぐために心臓の方向に開く弁があります。ただ、静脈の場合、動脈と追って血液の流れがゆるやかです。そのため血液がよどみやすく、血液がたまって静脈内の圧力が上昇したり、弁に障害が起きたり、静脈壁の内膜が傷ついて血栓ができたりすると、血液の逆流が生じ、静脈の一部がふくらんでコブをつくることがあります。これが静脈癌です。

静脈癌は足の静脈によく起こります。立った姿勢では、青いコブがボコッともりあがっているのが目立ちますが、足を持ち上げて寝ると、コブは消えます。

また、立ったままでいると、だるくて重苦しい痛みが出ますが、歩くと症状が少し改善されます。軽症なら、長時間の立ち姿勢をさけて足を持ち上げるようにし、マッサージなどで静脈の流れをよくします。症状が強く、皮膚にも変化がみられるようなら、静脈癌を取り除く手術が必要になります。

動脈瘤 破裂すれば命にかかわる場合も

動脈にできるコブ、つまり、動脈の壁が弱くなって、部分的あるいは全体的にふくらんだ状態が動脈瘤です。ときには命にかかわる事態になることもあるため、治療が必要です。

コブをつくる要因のひとつは、やはり動脈硬化

動脈硬化の血液はこちら
動脈は、血圧によって広がろうとする内側からの力に対して、血管壁の平滑筋や弾性線維などが収縮することによって、形を保っています。

しかし、内側からの力が強まったり、平滑筋や弾性線維になんらかの障害が起きると、血管がふくらんでコブができます。この場合、動脈壁の三層構造(内膜、中膜、外膜)は保たれていますが、動脈壁の層がはがれできる、特殊な動脈瘤(解離性動脈瘤) もあります。どちらのタイプの動脈瘤も、動脈硬化や高血圧があると起こりやすくなり・ます。

外傷、からだの組織をつなぐ結合組織の弾力性が生まれつき弱いことなどが原因で起こることもります。動脈瘤が破裂したり、中膜のはがれが進んだりすると、命にかかわることもあるので、早急な治療が必要です。

脳血管疾患「詰まる」「破れる」の2タイプある

脳の血管に起こる動脈硬化もまた、命を奪う危険があります。脳血管疾患のなかで、もっとも多くみられる脳梗塞は、太い血管にできる動脈硬化がもとで起こります。

栄養過剰、栄養不足、どちらも危険

脳血管疾患には、2つのタイプがあります。1つは、脳の血管が詰まり、そこから先の血流が途絶えて脳細胞が死んでしまうタイプ、

そしてもう1つは、脳の血管が破れて脳内に出血するタイプです。どちらにしても脳細胞が壊れる範囲が広くなれば、命にかかわる危険な状態になります。

脳血管疾患のなかで、もっとも多くみられるのは、詰まってしまうタイプの脳梗塞です。栄養過剰で汚れた血液は、脳の太い動脈にもアテローム性動脈硬化症をつくる危険があります。

脳梗塞の前ぶれとして、一時的に、半身マヒ、手足のしびれ、舌のもつれ、視力障害などの症状が現れることがあります。「1日くらいで治った」と安心は禁物。

気になる症状があったら、すぐに病院に行くようにしましょう。脳出血は、高血圧が原因で起こることが多く、脳内の細い血管が弾力性を失って破れ、出血するものです。詰まるタイプと反対に、コレステロール不足のために血管の壁がもろくなってしまうのです。

アスピリンが血栓防止に

解熱鎮痛薬としてもちいられるアスピリンには、血栓を溶かす作用があります。でも、脳梗塞を予防したいからといって、自己判断でアスピリンを安易に服用するのはよくありません。
出血が止まりにくくなるからです。万一、脳出血が起こったような場合に、ふだんからアスピリンを常用していると、なかなか出血が止まらず、命に危険がおよぶ事態になりかねません。

詰まる

  • 脳梗塞
    脳の動脈が動脈硬化を起こして狭くなり、やがてふさがってしまうために起こります。
  • 脳塞栓
    脳以外の血管壁にできた血栓の一部がはがれて脳に流れていき、脳の動脈が詰まってしまうために起こります。

破れる

  • 脳出血
    脳の細い動脈の弾力が管壁がもろくなり、破れしまいます。多くの場合原因で起こります。
  • くも膜下出血
    脳をつつむ軟膜と、くも膜の間にある動脈にこぶが破れて起こります。くも膜下出血を起こす人は、脳動脈が枝分かれする部分に生まれつき動脈瘤がある例が大半です。

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