うつ病の原因

環境、性別、ストレスなどが複合的に関係する

うつ病は、たったひとつの原因で起こる病気ではありません。環境や性別、ストレスなどの多様な要素がかさなったときに耐えきれなくなってしまうのです。

遺伝<生活環境
うつ病になる原因は遺伝だと勘違いしている人が多いのですが、もっと重要な原因は別にあります。
たしかに、うつ病になりやすい几帳面な性格をつくってきた素地は親から引き継がれた素質ともいえますし、うつ病発症時の脳の変化が起きやすいのは遺伝的なものと考えることができます。
かといって遺伝的要素のある人が、みんなうつ病になるわけでありませんし、うつ病は「遺伝的」というわけではありません。
ホルモンの関係で女性に発症しやすい
血圧やエネルギーの代謝などを行い、体内の環境を調整しているのが、各種のホルモンです。
ホルモンは、神経系と深くかかわりをもっているためバランスが崩れるとうつ病が発症しやすくなります。
ストレスの影響が大きい
うつ病の発症にもっとも大きな影響を与えるのはストレスです。
ストレスは誰しも感じるものですが、うまく対処できれば何も問題はありません。しかし、対処の仕方がうまくいかないとどんどんストレスが蓄積されてしまいます。

うつ病にかかりやすい人は環境の変化に適応しにくい

うつ病になりやすいhとは、性格的に柔軟性に欠け、環境変化に弱い特徴があります。それも、ストレスを抱えやすい要因になっています。
環境の変化とは、たとえば、

  • 引っ越し
  • リストラ
  • 転勤
  • 昇進など
  • があります。

うつになったきっかけがわからないことも!

発症の引き金になるのは、大きなストレスです。しかし、うれしいことがストレスの原因になることあるので、なにがきっかけになって発症したのか、発見できないことがあります。

栄転や昇進も本人にとってはプレッシャーに
うつ病は、強いストレス、あるはそれほど強くなくても長く続いたストレスをきっかけとして発症します。
リストラや家族との死別など、悪いことやイヤなことばかりが原因になるとは限りません。周囲の人にとっては喜ばしいことでも本人にはストレスと感じていることもあるのです。
仕事などで、これまで一生懸命に身を粉にしてやってきたことも一段落すると案外、ストレスがかかります。
よいことがストレスになるとは思いいたらない
よくないことなら本人も周囲の人も発症のきっかけがわかります。
しかし、よいことやほっとするようなできごとはストレスになるとは思わないため、引き金になった要因が自分では把握できないことがあります。
むしろ、よいか悪いかということより、今までとなにかが変わることが問題です。うつ病になりやすい性格の人は「環境の変化」が弱点なのです。

よいこともわるいことも環境の変化

  • よいこと
    栄転や昇進は嬉しいことですが、責任が重くなり、もともと責任感が強いだけに、より緊張を強いられる毎日になります。
  • 悪いこと
    リストラ、上司や部下との軋轢など、仕事上の問題、身内の病気や死亡、親しい人との別れなどが、発症の引き金になります。

うつになるきっかけチェックリスト

  • 仕事上つらいことがある
  • 毎日働き過ぎだと思う
  • 同僚とうまくいっていない
  • 上司が理解してくれない
  • 職業の選択を間違えた
  • 経済的な問題を抱えている
  • 毎日の生活に張り合いがない
  • プライドを傷つけられた
  • 期待していたことが外れた
  • 完璧主義者だと思う
  • 家族に問題を抱えている人がいる
  • 夫婦間がうまくいっていない
  • 離婚したばかり
  • 仕事上で表彰された
  • 期待されていると感じる
  • 責任が重い仕事についた
  • 子供が結婚した
  • 引っ越しをした

これらはほんの一例ですが、最近変わったことがないかどうか自分なりに考えてみましょう。

気持ちの問題ではなく脳のトラブル

うつ病は、たんに心のあり方の問題ではありません。脳の中で感情を調整する物質に変化が起きることが直接の原因です。

セロトニンが低下し情報伝達に支障が起きる
うつ病のきっかけとなるのはストレスですが、発症そのものの原因は脳の中の変化です。
脳を形成するのは、ニューロンと呼ばれる無数の神経細胞です。
この神経細胞と神経細胞の間(シナプス)で情報を伝えているものに「神経伝達物質」と呼ばれるものがあります。感情調整にもこの神経伝達物質が関わっており、セロトニンという神経伝達物質が十分に働いてないとうつ状態になります。
うつ病は、心のあり方という面があると同時に脳の中でのこうした変化による病気です。「脳の風邪」と言われるのもそのためです。

うつのときの情報伝達

  1. セロトニンが減少
  2. 受容体が腫れる
  3. 機能が働かない
  4. ノルアドレナリンの出方にも影響
  5. 感情調節ができない

うつは、ほかの病気や薬によっても発病の原因になることがある

病気になると、心身ともにストレスがかかるため、うつ病の原因となってしまうことがあります。ほかの病気で服用している薬の副作用で起こるうつ病もあります。

身体的な病気がうつ病に関係することもある
身体的な病気が、うつ病の誘因になることもあります。
たとえば、ガンになれば、死を考えたり、孤独感などで精神的な負担が大きくなり、そのことがうつ病に結びついてしまいます。
ガンという重い病態自体が身体的ストレスになってうつ病が併発することもあります。身体的なストレスになるのは、インフルエンザなどの感染症や全身のさまざまな病気に共通しています。
合併症としてうつ病になることもある
直接的にうつ病と関連していると考えられる病気もあります。
たとえば、糖尿病はうつ病と併発しやすくうつ病でも血糖値の異常値があらわれやすくなります。また、全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病でもうつ病が併発しやすくなっています。
薬の副作用によるうつ病にも注意
身体的な病気の治療薬がうつ病の原因になることもあります。薬の作用が脳の神経伝達物質になんらかの影響を与えるためだと考えられています。
よくみられるのが、副腎皮質ホルモンやある種の降圧剤、精神病薬、パーキンソン病の治療薬などです。経口避妊薬もうつ病になりやすい薬です。
このようにうつ病を招く可能性のある薬はたくさんあります。薬を常用している人が、うつ病になった場合、まず薬の副作用かどうかを確認しなければいけません。

うつ病につながりやすい疾患

ガン、インフルエンザ、肝炎、パーキンソン病、消化性潰瘍、アルツハイマー病、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、胆道ジスキネジー、脳卒中、糖尿病、全身性エリテマトーデス、慢性腎不全、悪性貧血、アジソン病、慢性腎盂腎炎、本態性高血圧、メニエール病

うつ病につながりやすい薬

副腎皮質ホルモン、レセルピン系降圧剤、インターフェロン

どの病気がどの結果なのか、解明は難しい

  1. 難治性の病気になってしまった結果なのか?
  2. 病気そのものにうつ病がからんでいるのか?
  3. うつ病なのに体の病気のようにみえるのか
コラム 消化器疾患との関係性

胃はストレスの影響を受けやすく、食欲不振や胃痛から潰瘍になってしまうこともあります。
腸も同様でストレスによって自律神経のコントロールができなくなり、動きが過敏になるために下痢や便秘を繰り返します。過敏性腸症候群です。
慢性下痢が続くなら過敏性腸症候群の可能性が大
なかなか治らない消化器疾患にはうつ病が隠れていることがあります。慢性胃炎に抗うつ薬が作用することもあります。

うつ病になりやすい性格

いい人ほどうつ病になりやすい

うつ病には、その人の性格が深く関わっています。几帳面でまじめ、責任感が強く一生懸命に仕事に励んでしまう人ほどうつ病にかかりやすいのです。

ストレスをためこむ性格が危険
心の病にかかると、自分は心が弱いではないかと心配になります。しかし、うつ病には心の強さ、弱さというよりその人の性格が関係しています。
まじめで責任感をもって仕事を一生懸命行い、人あたりもよく、とてもよい人という評価の人が危険です。
反面、融通がきかず、頭がかたいという欠点もあります。
人の性格はさまざまで一概に言えませんが、一般にこのようなタイプの人はストレスをためこみやすくうつ病にもなりやすいのです。
うつ病にかかりやすい性格については異論も多い
うつ病になりやすい性格には異論もあります。うつ病になりやすい性格の傾向があるかどうかこれまで何人もの人が研究してきました。
性格の分類がいろいろあるなかで執着気質とメランコリー親和型がなりやすいという説が有力でした。

長短紙一重の性格傾向

長所
  • まじめ
  • 几帳面
  • しっかりしている
  • 責任感が強い
短所
  • 融通が利かない
  • 頭がかたい
  • 気持ちを切り替えられない
環境気質
(クレッチマーの分類)
執着気質
(下田光造の分類
メランコリー親和型
(テーレンバッハの分類)
人付き合いがよく、きがよいタイプ。かつては躁うつ病になりやすいとの説あり どちらの性格もほぼ同じで責任感が強く仕事熱心、几帳面で凝り性、人に頼まれると断れないタイプです。

物事の重みづけが下手なタイプ

うつ病になりやすい性格に、すべて几帳面に取り組むという面があります。この点を心理学的にもう一歩、深くとらえてみると、「ものごとの重みづけが下手」という面が関係していることがわかります。

優先順位をつければやり残しても問題ないが
いろいろやるべきことがある場合、自分で優先順位をつけ、大切なこと重要なことから始めればやり残したことがあってもそれほど重要なものではないので、結果的に成功したことになります。
ところが重みづけができないと、物事を片っ端から行ってしまいます。この場合、やり残したことが重要なことなら結果は失敗です。
失敗を補う性癖が几帳面さにつながる
重みづけができないことは、生来的な「神経機能の弱点」とえいます。子供の頃からそれによる失敗を重ねてきたため、やがて弱点を補おうとやり残しがないようにすべてを完全に行うようになります。それが几帳面という性格を形成してきたと考えることができます。

  1. 優先順位がつけられないという精神機能の弱点
  2. 重要なことをやり残してしまう
  3. 失敗のイメージが残る
  4. 片っ端からやっていく

感情がいつまでも残るタイプ

失敗をしたとき、くやしい気持ちが長く続いてしまう人は失敗をおそれて慎重になり、ますます几帳面になり、大きなストレスを抱えてうつへとつながりやすくなります。

失敗へのそれから慎重になる
几帳面を形成する、もうひとつの要素に「感情がいつまで残る」ということがあります。
くやしさや悲しさなどの感情が長く尾を引き、気持ちの切り替えがしにくいのです。これはものの考え方というようり、その人の生理機能の問題といえます。
このタイプの人は、失敗するといつまでも悔しい気持ちが残るため、失敗をおそれてどうしても慎重になります。このことが几帳面さにつながっていきます。

  1. 感情が残るという生理機能の弱点
  2. 失敗を恐れて慎重になる
  3. ますます几帳面に
  4. 几帳面さと臆病さの板挟み
几帳面さだけでは乗り切れない
これまで几帳面さでさまざまな困難を乗り切ってきても社会人、・家庭人になってストレスが増えるとそうはいかなくなります。
几帳面さで乗り切ろうとがむしゃらになればなるほど、ストレスのプレッシャーは大きくなり、やがてうつ病へと進んでしまいます。

心の病

うつ病の周辺に心の病

抑うつ感がひどく、うつ病を疑って受診すると、違う病名を告げられることもあります。うつ病に発展するもの、似ているが違うもの、うつ病に関連する心の病気も様々あります。

抑うつ感が強い心の病はたくさんある
うつ病と似たような症状をあらわす心の病は、たくさんあります。いずれも抑うつ感が強く、日常生活に支障をきたすものです。
これらの中には、心身症のようにうつ病とは明確に区別されているものもあります。
うつ病につながるもの合併するものなど多様
心の病にはうつ病にはいるもの、やがてうつ病になる可能性のあるもの、うつ病との区別が議論されているものなど、うつ病と深く関係しているものがあります。
たとえば、気分変調症はうつ病のひとつとして考えられています。マタニティーブルーや引きこもりは、うつ病に発展する可能性があり、慢性疲労症候群は、うつ病と合併しているのではないかとの味方もあります。

うつ病を判断するポイント

日常生活に支障が出るほどの強い抑うつ感が2週間以上続く

メモ 燃え尽き症候群について

症状が似ているもののひとつに「燃え尽き症候群」があります。
見た目はうつ病と似ていますが、心の病ではありません。強い責任感のもと、長期間、大変な緊張感を持続しながら職務にあたったことで、心のエネルギーが燃え尽きてしまうものです。
その結果、感情がなくなり、自分を責め、対人関係ではストレスが生じないよう事務的、機械的になります。薬や酒に逃避してしまうこともあります。
責任感が強くがんばり続ける人は、燃え尽きてしまわないように注意が必要です。

うつ病周辺の心の病

心身症
ストレスなどが原因で、体に明確な病気があらわれるものです。
イライラする、ゆううつになるなどの精神的な症状もあらわれますが、それほど重くなく心の問題に気づかないこともよくあります。
気分変調症(抑うつ神経症)
うつ病のようにはっきりとした気分の落ち込みではなく、なんとなく憂うつで悲観的に考えてしまう状態がだらだらと長く続いてしまいます。
うつ病と違い、日常生活はきちんとできています。うつ病に進展するケースもありますが、自然に治ることもあります。
マタニティーブルー
出産の後に起こる一時的なうつ状態を指します。ホルモンバランスの崩れから起きるもので多くは10日間ほどでよくなりますが、うつ病に移行するケースもあります。
慢性疲労症候群
検査をしても異常がないのに、ひどい疲労感が慢性的に続く状態ですが、気分の落ち込みなどうつ病同様の症状も出ます。発熱やのどの痛みなど、感染症のような症状もあり、心の病ではないとの見方もあります。慢性疲労症候群について
ひきこもり(不登校)
うつ病は子供にも起こります。それによって学校に行けないケースもあります。ただ、子供は症状を明確に伝えられないだけにうつ病か否かの判断は難しくなります。

うつ病以外の心の病

心の病とはまっったく無縁という人はどのくらいいるのでしょう。最近はうつ病が増えているとはいえ、ストレスが多い現代、抑うつや疲労感がどんな心の病に進展するかわかりません。

ノイローゼ

不安神経症
増えている心の病。いきなり理由もなくたまならなく不安にになってきます。パニックを起こすことも。発作的に不安にとらわれる人といつも軽い不安につきまとわれる人がいます。
心気神経症
ささいな不調をみつけ自分が病気だと思い込み、検査や受診を繰り返します。実際には健康で異常が発見されないことが多いのですが、医師の見落としだと悩み医師や病院遍歴を続けます
強迫神経症
手がよごれているような気がして何度も洗わずにはいられないなど、自分でもおかしいと思ってはいます。日常生活に支障が出て疲れ切ってしまってもやめられません。
摂食障害
ダイエットをしているうちに本当に食事がとれなくなったり、逆に大量に食べてしまったり、お腹がすいていないにもかかわらず食事がふつうにとれなくなってしまいます。
ヒステリー2
麻痺やけいれんなどの病気のような症状がでていても検査場は見つかりません。ひどく悩んでいる心の状態がそのような形ででるのです。一般の人が想像するヒステリーとは違います。

精神分裂病

統合失調症
心の病のなかでもっとも患者数が多い。幻想や妄想にとらわれたり、緊張が続くなどの症状。若いときに発病しやすい傾向があります。

仮面うつ病

心の不調が体の症状としてあらわれる

心だけでなく体にもさまざまな症状があらわれます。身体症状は、早朝にあらわれやすく、そのかげにうつ病が隠れていることもあるので、体の不調にも注意が必要です。

身体症状からうつ病が発見されることも
うつ病の患者さんは、精神的な問題だけでなく、必ずといっていいほど身体的な症状も訴えます。
精神的な変化より前に、身体症状があらわれることも多々あります。
体にあらわれるシアンは多用です。具体的な症状は次のとおりです。

  • 頭が痛い
  • 不眠
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 首や肩のこり
  • 味覚異常
  • 口が渇く
  • のどの不快感
  • 動悸・息切れ
  • 吐き気・嘔吐
  • 関節の痛み・しびれ
  • 呼吸が苦しい
  • 胸部圧迫感
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 胃部不快感
  • 便秘・下痢
  • 腰や背中の痛み
  • 頻尿・排尿困難
  • 性欲減退
  • 疲労・脱力感・倦怠感
  • 冷え
  • 体重減少
身体症状だけの仮面うつ病
身体的な症状が前面に出て、精神的な症状があまり感じられないこともあります。このような場合、心の病ではく、体の病気だと考えてしまいがちです。本来はうつ病なのにしれが身体症状に隠れているケースを「仮面うつ病」といいます。

体の不調としてあらわれる

体にあらわれる症状は、つねに一定したものではなく、苦しい場所があちこち変わることが多くなっています。また、それぞれの症状は、多くの場合、なんとなく重い、なんとなく痛いといった漠然とした不快感です。

体のSOSはうつ病と診断されにくい

身体的な症状がめだつと、だれでも体の疲労かな?と思ってしまいます。専門外の医師だと身体的症状に隠れた仮面うつ病を見過ごし、違う病気だと診断してしまうことがあります。

うつ病が発見されないケースの例

  1. 受診
  2. 問診で見当がつかない
  3. 検査
  4. 異常なし
  5. わずかな症状に着目
  6. 誤診

誤診されやすい病気は

  • 低血糖症
  • 不眠症
  • 心臓神経症
  • 狭心症
  • 胃下垂
  • 便秘症
  • 脳腫瘍
  • 脳動脈硬化症
  • メニエール症候群
  • 更年期障害
  • インポテンス
  • 神経性膀胱炎
  • など

身体症状が前面に出た仮面うつ病
身体的な病気にみえるうつ病を「仮面うつ病」といいます。
うつ病の方が仮面のように無症状だからこう呼ばれると思っている人も多いのですが、これは全く異なります。
本当はうつ病なのに身体的な病気のような仮面をかぶっていてわかりづらいという意味です。
内科を受診して誤診されてしまうケースも
本人は、うつ病と気づいていないので体の病気だと心配し、内科や自分の症状にあった診療科を受診しがちです。
しかし、本来はうつ病なので、さまざまな検査を行っても異常は発見できません。
このようなとき、心の病に詳しい医師ならうつ病の可能性をかんがえるのですが、そうでない場合は、あらわれている症状だけで判断するので結果、誤診となってしまうのです。
異常がないからうつ病だともいえない
内科的な検査の結果、異常が発見されない場合、うつ病を疑って治療してみると、身体的な症状がうそのように消える場合もあります。そのことで仮面うつ病だったということがわかることが多いのです。
ただ、検査で異常がないからといって早計にうつ病だと判断できるわけではありません。専門的な診断が必要なのです。

うつ病の経過

ある日、突然始まり悪化していく

軽い落ち込みや体調不良から始まり、やがて症状が悪化していきます。自然によくなることが多いのですが、再発しやすいのも特徴のひとつです。

心身の症状が同時にあらわれる
うつ症状は、比較的突然にあらわれます。気持ちが落ち込むなど精神症状のほか、不眠などの身体的な不調がほとんど同時に発生します。
最初は、どの症状も軽いのですが、やがて次第に重くなっていきます。気分も体も重く行動を起こすのが億劫になっている自分を自覚するようになります。すると、考えがどんどん悲観的になり、やがて死を考えるようになります。
再発しやすい
こういった状態は、時間に経過するごとに自然に治ることが多いのですが、1度はよくなっても症状を繰り返すのが特徴です。人によっては、年に何回も繰り返します。

発病と快復期がはっきりわかる

何をしても楽しく感じられなくなったり、興味がもてなくなったらうつ病の発症に要注意です。その後、気分の落ち込みが激しくなり、本格的なうつ状態になります。

経過には共通のパターンがある
うつ病の発症から回復までの経過にはある程度共通したパターンがあります。
多くの場合、生活の中で楽しさを感じられなくなったり、ものごとに興味がもてなくなるといった前ぶれの症状のようなものからはじまります。
やがて悪化して、気分の落ち込みが激しくなり、発症がはっきりとしてきます。その回復期になると、ものごとを楽しめる感覚が戻ってきます。回復期に入った入った時点も比較的はっきりわかります。
1日のうつにも気分の変動がある
症状は、1日の間でも強弱の変化がみられます。たいていは起きがけから午前中にかけて症状が重く、午後になると、気分が晴れてきます。人によっては夕方からの気分が優れない場合もあります。

気分の推移

  1. 退屈感、不快感、ものごとに興味がもてない・楽しめない・劣等感などを覚えます。気力が低下し、生活がだらしくなくなります。不眠、口の渇き、手足のしびれなど身体的な症状もみられます。
  2. 気分の落ち込みが激しくなり、刺激に対して無感動になりぼんやりsます。自分は無価値な人間だと感じ、自分を強く責めます。身体的症状も強くなり、簡単な仕事しかできなくなります。
  3. もっとも重症の時期で、行動を起こせなくなり、人に援助を求めることもできなくなります。精神的苦痛が激しく、強い自殺願望おw抱きますが、行動を起こせない状況なので危険性はそれほど高くありません。
  4. 回復の兆しが出てきル時期です。症状は2の段階に似ていますが、気分の変動が激しいのが特徴です。
    回復期とはいえ、行動を起こす気力が出てくるため、自殺を実行してしまう危険性も同時にあります。
  5. ものごとへの興味が戻り、治りたいという希望を抱くようになります。気分が優れているときには、自信もできてます。
    身体症状も軽くなってきますが、疲れやすいので本格的な社会生活はまだです。

いきなり元気いっぱいで強気になる人も

うつと正反対の状態に、気分が異常に高揚する躁があります。うつと躁は別物というわけではなくうつと躁が交じることも多く、普通のうつ病と単純に区別することはできません。

うつとは正反対の症状があらわれることも
うつ病の方の経過をみていると、うつとは正反対の躁状態をあらわすことが少なくありません。
躁状態になると、気力が充満し、やる気まんまんで活発に行動し、考えることも自信たっぷりで怒りっぽくなって人を責めます。
食欲も性欲も亢進します。
うつと比べるとよい状態のような印象を受けますが、社会的活動が活発になりすぎて周囲の人とトラブルが起きやすくうつほどではありませんが、本人は苦しみます。
躁うつ病との区別は難しい
以前は、うつ症状だけでなく繰り返すものを単極性うつ病、うつ症状と躁症状が交じったものを双極性うつ病(躁うつ病)として区別していました。
ただ、躁うつ病かどうかは実際に躁の症状がでてくるまでわからないのが現状です。単極性と思われても今はまだ躁状態があらわれないだけかもしれません。
そのようなことから最近では、単極性、双極性という区別はしない方向です。
躁の交じるうつ病については、まだ多々議論があります。

躁は心の病に見えにくい

躁はうつと違い、社会活動は十分にできるので、異常を感じにくいという特徴があります。うつでは、沈んでいる自分の心を敏感に感じますが、気分が過剰に高揚している躁では心の変化に気づきにくいのです。
周囲の人も言動が激しくなったのは、「性格が変わってしまった」「ストレスでイライラしている」と見過ごしてしまうケースが多くあります。

うつの発病

本人がうつ病に気づいていないこともある

不況、リストラなど、ストレスの種はつきず、現代人はうつ病にかかりやすい環境におかれています。しかし、うつ病とわからずに受診しないままひとりで悩んでいる人も多いのが最近の特徴です。

うつで悩む人が増加中
様々なストレスがあふれる昨今、うつ状態に悩む人が増えています。WHO(世界保健機関)の推定データをもとにすると、20人に1人くらいはうつ病を経験している計算になります。
うつ病の最大の問題は、自殺に走る点ですが、厚生労働省のデータによると、自殺者も急増しており、その60%がうつ病が原因とも言われています。
自分がうつ病とわかっていない人が多い
病的なうつ状態なのに、自分が病気だと考える人は実際には少ないのが現状です。うつ病で悩んでいても過労からくる一時期的なものだろうと思ったり、軽いノイローゼだろうと、本人も周囲もつい見逃しがちです。
うつ病を自覚し、きちんと受診する人は症状に悩む人のほんの一握りだろうと推測されています。

うつ病とうつ気分とは異なる、どのように違うのでしょうか?

うつ病=心の風邪

気分がふさぎ仕事や勉強への意欲がわかずに苦しい…。そのような症状で悩んでいないでしょうか?うつ病は単なる気分の問題ではなく治療が必須の病気です。

うつ病になると
脳のトラブルで気力がなくなり、なにも手につかなくなります。傍目には怠けているように映ることもあります。脳のブレーキが効き過ぎて感情調整ができなくなっています。
うつ病は特別な人がかかる病気ではない
心の病にはいろいろな誤解や偏見がつきまといますが、うつ病も例外ではありません。うつ病というと何か特別な人がかかる特別な病気だと考えている人が多いのですが、うつ病は、かなり広い範囲の人にかかる可能性のあるごく一般的な病気です。誰にでも起こりうるという意味でうつ病の「心の風邪」あるいは「脳の風邪」のようなものだといわれます。
脳にトラブルが生じている
うつ病は、ストレスなどが引き金になるので、心のもちよう問題だと考える人もいますが、これも誤った認識です。脳の風邪とも言われるようにううつ病は脳のトラブルであることが医学的にも明かになっています。
悪化する前に正しい治療が必要
うつ病は、放っておいても自然に治ることがあります。しかし、こじらせてしまうと大事に至ることもありこの点でも風邪によく似ています。
うつ病は急増中
リストラ、不況、過重労働、将来への不安など多くのストレスがのしかかる近年、うつ病にかかる人が急増しています。
なかには病気の自覚がないまま、ひとりで苦しみ続け悪化してしまう人もいます。
うつ病は適切な治療を受ければ治る病気です。兆候があればできるだけ早く対処しましょう。

うつ病は心のエネルギーがなくなった状態

憂鬱になり喜びも悲しみも感じられない
うつは、その名のとおり、気分がひどく落ち込みゆううつになる状態です。
周囲がどんなにおもしろく感じることもまったく楽しくありません。かといって悲しくて泣けてくるわけでえはありません。
悲しみはつらいとはいえ、生き生きとした人間の感情なのです。うつではそのような感情の動きそのものが低下しています。
意欲がわかずに悪いことばかり考える
心のエネルギーが欠如した状態ではなにごとに関しても意欲がわかなくなります。その結果、仕事や家事、勉強はもちろん、食事も入浴など、生活の基本行動もできなくなることがあります。また、そういう自分に焦りを感じ、悲観的な考えばかりが頭を占めてしまいます。
ぐるぐる思考
少し休もう!とかこれまでがんばりすぎたなどの発想の転換ができずに悪い考えばかりにとらわれてその思考回路から抜け出すことができません。

うつ病の自覚症状

  • 意欲の減退(21.5%)
  • 気分の抑鬱(17.4%)
  • 全身倦怠(8.7%)
  • 不安・焦燥感(10.2%)
  • その他(貧しくなるという妄想、自殺を考える、眠れない、将来が心配、くよくよする、心配、自信がない、人が遠く感じられる)32.1%

うつ気分

どんな人でも気持ちが落ち込むことはあります。しかし、うつ病の場合、落ち込み方が極端で非常に強い精神的な苦痛を感じ、体にもさまざまな不調があらわれます。

落ち込みの程度が重く苦しみが格段に強い
いやなことがあれば誰でも落ち込み、憂鬱になりますが、これは病気とは言えません。うつ病と区別する判断のポイントは、症状の重さです。仕事や家事などの行動ができなくなるほど落ち込み、極度に悲観的になります。
すべて自分がいけない、自分はダメな人間だと自己否定の気持ちが強くなります。また、そのことで苦しみます。こうした激しい気持ちの落ち込みが2週間以上続くようならうつ病の可能性アリとなります。
気持ちだけでなく体調も悪化します。ほとんどの場合、不眠になり、一晩中悲観的な考えが頭を占めて苦しみます。
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見分けるポイントは2点

  • 悲観的な考えが度を超していてときに妄想まで抱きます。周囲がいくら説得しても頑固に思い込みます。
  • 日常的に起こるうつ気分より重い憂鬱気分が2週間以上続いたりさらに悪化したりする。

うつ病 VS うつ気分

日常的なうつ気分なら、生活にそれほど支障がなく、気晴らしもできます。しかし、うつ病になると、日常生活が阻害され、何があっても気が晴れません。ちなみにうつ気分からうつ病へと進むわけではありません。

日常の行動ができなくなる
誰もが感じることのあるうつ気分と、病気としてのうつは、具体的にどう違うのでしょうか?
たとえば、日常的なうつ気分ならいやいやながらでも職場に行って仕事もでき、主婦なら家事もできます。休んだとしておせいぜい1日くらいのものです。
しかし、うつ病になると、仕事も家事も勉強もあるいは食事や入浴といった日常行動さえもできなくなってしまいます。これは面倒だからではなく「やらなくてはいけない」と重いながらも出来ないので苦しい思いになるのです。
自分を責めて自殺まで考える
日常的なうつ気分では、ものごとすべて悲観的に考えても「死のう」というところまで思い詰めることはありません。
ところおがうつ病では「自分はダメ人間」「みんなに迷惑をかけている」と自罰的になって苦しみ必ずといっていいほど死を考えます。たとえ症状が軽くても「死んだら楽になる」という思いをどこかに持ってしまいます。
よいことがあっても気分が晴れない
ふつうならたとえ相当気持ちが落ち込んでも原因となっていたことが解決すれば気持ちはすっきりします。
悩みそのものが解決しなくてもほんとによいできごとがあると、気が晴れます。落ち込んでいても趣味など好きなことをすれば短時間でも気が晴れます。
ところがうつ病ではどんなよいことがあっても落ち込みが解消されず、気晴らしが出来ません。このように日常的なうつ気分とうつ病とは大きく異なるのです。

うつ病とうつ気分の違い

  うつ病 うつ気分
強さ 強い 弱い
妄想 妄想的になることが多い 現実からはずれない
自殺 自殺することがある 比較的まれ
状況からの影響 よいことがあっても気が晴れない よいことがあると少し気が晴れる
日常生活 大きく阻害される それほど阻害されない
周囲からみて 理解できないことが多い 理解できることが多い
持続性 長く続く じょじょに軽くなる
抗うつ薬 よく効く 効かない
仕事・趣味 全く手に付かない やっていると気が紛れる

うつ病かもしれない?と思ったあなた少し立ち止まってください

うつ病は気のもちようでどうにでもなる!と思ってこれまで様々な問題やトラブルをクリアーしてきてしまった人、やっぱり途中でダメだった人、本当はダメでも「なんとかして乗り切ってみせる!」と思って今も必死にがんばっている人、さまざまいるかもしれませんが、気のもちようでどうにかなるものではありません。

予防や再発防止、慢性期になったら物の考え方を切り替えたりリラクゼーションをすることも大切ですが、急性期は別です。

病気なのですから薬を飲んで休養することが治療の基本です。これはうつに限らずにどんな病気も同じです。うつも病気なのですから、体を休めなければいけません。元気が出ずに何も手につかない状態になると本人も周囲の人、家族、恋人、友人みんなが何かやらなければいけない!と焦りがちです。

このままではいけないと思ってしまうのが日本人の特徴的な性格と日本人特有の文化なのです。何もしないのは罪だと誤った解釈をしてしまいます。

もともと、うつ病になりやすい人はまじめで几帳面、コツコツと仕事をこなすタイプです。社会的には「いい人」の評価を得ていますし、それが当たり前だとも思っています。
ところが、その反面、がんこで柔軟性に欠けストレスを人一倍ためやすいタイプでもあるのです。

現代社会は、ストレスに満ちており行きにくい世の中になってしまいました。それに比例するかのようにうつ病になる人も増えているのです。自殺までしてしまう人もいます。

今一度、立ち止まっていただければ嬉しいです。