うつ病患者さんに対してのコミュニケーション してほしいこと、してほしくないこと

まずは相手の言うことを受け止める

うつ病の患者さんは多くの悩みを抱えています。周囲の人がまずできるのは相手を責めたり意見をさしはまず、心の問題を真摯に聞いてあげることです。

話を聞くときの心掛け

周囲の人の役割は、まず話を聞くことから始める。

  1. 流れの中でとらえるうつ病の人は今、現在しかみていません。今は悪くても将来も同様ではないことを伝える。
  2. 正しい知識を持つ結果的に相手に役立つアドバイスが出来る
  3. ペー-酢にのらない真摯に話を聞くことと、相手に感情移入することは別。むしろ客観的に冷静に聞く。
  4. 拒否しない相手の言うことを拒否せず、つじつまが合わないようなこともいったんは受け止める。
  5. 決めつけないそれは○○だ!○○すべき!と決めつけるとまじめな性格の人だけに負担になることもあります。
周囲の人も病気について勉強し、正しい知識を身につける
うつ病の患者さんは、心身に不快感があるため、ささいなことでも不機嫌になったり、人を攻撃したり、感情的な言動をすることがあります。また治りかけには、元気にはなっても、もうひとつ行動を起こしにくいことがあります。
このようなとき、まともに反応して口争いになったり、「仕事を怠けているだけなのではないか」と、誤解して責めてしまう場合もあります。周囲の人は、病気についての正しい知識をもち、できるだけ的確な対応をして、本人の心理的負担を軽減してあげましょう。
悩みを真摯に受け止める
患者さんは、日ごろからストレスになっていた事柄をはじめ、病気への不安、気力の出ない自分へのあせりなど、さまざまな悩みを抱えています。周囲の人は、その心の内を聞いてあげてください。悩みは、人に話すだけで、ずいぶん心が軽くなるものです。
相手が話すように仕向ける
話を聞くときは、問いたださず、自分から話しやすい雰囲気をつくるようにします。ときに妄想を抱いていることもありますが、否定せずに聞いてあげます。

敬遠されても手をさしのべる

話しかけたり世話をされるのをいやがる態度をみせても、じつは周囲の人たちが手をさしのべてくれるのを待っています。関わりを避けずに働きかけてください。

うつの方は、孤独感が強い

うつ病の方は、周囲があれこれ心配して話しかけても、ささいなことで怒ったり、返事をしないことがあります。周囲の人は、腫れ物にさわるように、接触を避けてしまうことがあります。しかし本人は、かまわれるのがいやなわけでは、けっしてありません。
実際には、孤独感におそわれています。たとえ拒絶の反応をみせても、内心では、家族や親しい人からの接触を待っています。そのことを知っておき、つねに温かく見守っていることを、言葉や態度で示してあげてください。

励ましは逆効果のこともある

うつ病の方の悩みを聞いたり、落ち込んだ状況をみていると、どうしても「がんばって」と励ましたくなるものです。けれど本人は、がんばりたいのにがんばれないのであり、そんな自分を責めて苦しんでいます。人から励まされると、よけいに自分を追いつめてしまいます。また、気力が落ち込んでいるときは、散歩やスポーツをむりにすすめるのもやめまt よう。

言って欲しくないこと・してほしくないこと
  • がんばれと言わないで
  • 同情しないでほしい
  • 何をやっているだと責めないで
  • なにかするように励まさないで
  • 原因は何かとといつめないで
言って欲しいこと・してほしいこと
  • 普段どおりに接してほしい
  • 寛容な態度をとってほしい
  • 静かに見守ってほしい

うつ病の早期発見・早期治療

うつ病も早期発見、早期治療が大事

治療しないまま放置しておくと、重症化して治療が困難になり、自殺の危険性も高くなります。治療法が確立されているので、症状があったら早期に精神科を受診しましょう。

早期発見・早期治療が大原則
うつ病は、病気の重症化と自殺を防ぐために治療が必要です。
心の問題だからと気力でなんとかしようとするのは大間違いです。この病気は脳の風邪であり、脳にトラブルが起きているのがうつ病です。
そのトラブルを治す薬があるのですから、うつ病と思われる症状があったら早めに受診しましょう。
偏見や誤解をもたずに精神科を受診しよう
受診は、総合病院の精神科か精神科のクリニックがよいでしょう。精神科というといまだに抵抗かのある人が少なくありません。しかし、風邪をひいたら内科に行くのと同様です。

こんな様子ならうつ病を疑ってみる

うつ病の回復や再発予防には、周囲の人のサポートも必要です。病気のサインは、本人よりむしろ周囲の人のほうが先に気づくことも多いので、まず周囲から受診をすすめてあげる必要があります。

苦しくてもまわりに助けてを求めることが多い
症状が軽いうちは、本人は心身の変化を感じないことがあります。
また、変調を自覚しても周囲の迷惑をかけたくないと思い、あまり助けを求めません。
しかし、周囲の目には、口数が少なくなってイライラしている。仕事の能率が落ちたり、ミスが増えたりして弱きな言動が増えたりします。明かにいつも違うとわかります。
理論的に説得するのがよ方法
本人に聞いても、「大丈夫」というでしょうかが、うつ病の疑いがあることやきちんと治療すれば治ることを説明し、休養や受診をすすめます。
うつ病になりやすい人はまじめなのできちんと説明すれば聞いてくれます。
自殺という最悪の事態を防げるかどうかは周囲がいかに早く気づくかにかかっています。

「コラム」ほほえみうつ病

うつ病なのに、顔はいつもにこにこしている場合があります。これを「ほほえみうつ病」と呼ぶことがあります。ほんとうはとても苦しんでいるのですが、必死に努力してほほえんでいるのです。
これも、うつ病になりやすい人の性格からといえます。周囲に気を遣い、なんでもまじめに一生懸命やってしまうのです。

こんな様子に注意

  • だらしない印象になってきた。うつになると入浴や身だしなみに気を使わない
  • 絶対におもしろいはずのことでもつまらなそうにしていて笑顔にならない
  • いつもきちんとやっていたことができなくなり、ぼーっとしている。
  • じっとしていられなくて不機嫌な顔で同じところをうろうろしている。

うつ病の前兆 を見逃さない

自分でもわかる前兆を見逃さない

うつ病は、一度症状が消失しても、繰り返すことがよくあります。自分の心身の状態に目を向け、症状が再発する前兆を見逃さないように対処しておくことが大切です。

こんな気分はうつの前兆

うつ病のきっかけが自分ではわからないことも多くあります。さしたる原因が思い浮かばなくても気分が落ち込んだときは要注意です。
自分では単なるストレスの蓄積だと思っていてもそれがうつ病の前兆ということも。ストレスがたまりすぎないように注意する

  • 仕事をつい後回しにしている
  • すぐに疲れてしまう
  • ささいなことにイライラする
  • 最近、楽しいことがない
  • 性欲がなくなってきた
うつの症状は再発しやすい
うつ病は、適切な治療をすれば治りやすい病気ですが、再発しやすいのも確かです。
人によっては何回も繰り返してしまうことがあります。うつ病が再発するときは、なんらかの前兆があるはずです。食欲がなくなる、眠れなくなる、話をしたくなくなるなど前兆となる心身の変化はさまざまです。
うつを繰り返している人は前兆が分かる
再発を予防するには、これら前兆となることを早めに発見し、早急に対処しておくことが大切です。
また、何回かうつ症状を繰り返している人ならどのような前兆であるか、だんだんわかってきます。
動けなくなる前に早めの休養を
心身の変調を感じたらともかく休養です。仕事のことなど気にかかることはあるでしょうが、再発すれば仕事どころでなくなる可能性があるのですから心を決めて休暇をとってしまいます。
周囲の人のアドバイスも
本人は心身の不調を感じていなくても家族や周囲の人のほうが敏感に気づくこともあるので、そのときは休養をすすめます。
悩み事は遠慮しないで、誰かに相談し、できるだけ気持ちを軽くしておきます。ただでさえまじめに悩むタイプであることを自覚しておきます。