うつ病 になりやすい性格

いい人ほど うつ病 になりやすい

うつ病には、その人の性格が深く関わっています。几帳面でまじめ、責任感が強く一生懸命に仕事に励んでしまう人ほどうつ病にかかりやすいのです。

ストレスをためこむ性格が危険
心の病にかかると、自分は心が弱いのではないかと心配になります。しかし、うつ病には、心の強さ、弱さというよりその人の性格が関係しています。
まじめで責任感をもって仕事を一生懸命おこない、人あたりもよく、とてもよい人という評価の人が危険です。
反面、融通がきかず、頭がかたいという欠点もあります。
人の性格はさまざまで一概に言えませんが、一般にこのようなタイプの人はストレスをためこみやすく、うつ病にもなりやすいのです。
うつ病にかかりやすい性格については異論も多い
うつ病になりやすい性格には異論もあります。うつ病になりやすい性格の傾向があるかどうか、これまで何人もの人が研究してきました。
性格の分類がいろいろある中で執着気質とメランコリー親和型がなりやすいという説が有力でした。

長短紙一重の性格傾向

長所
  • まじめ
  • 几帳面
  • しっかりしている
  • 責任感が強い
短所
  • 融通が利かない
  • 頭がかたい
  • 気持ちを切り替えられない
環境気質
(クレッチマーの分類)
執着気質
(下田光造の分類)
メランコリー親和型
(テーレンバッハの分類)
人づき合いがよく、きがよいタイプ。かつては躁うつ病になりやすいとの説もあり。 どちらの性格もほぼ同じで責任感が強く仕事熱心、几帳面で凝り性、人に頼まれると断れないタイプです。

物事の重みづけが下手なタイプ

うつ病になりやすい性格に、すべて几帳面に取り組むという面があります。この点を心理学的にもう一歩、深くとらえてみると、「ものごとの重みづけが下手」という面が関係していることがわかります。

優先順位をつければやり残しても問題ないが
いろいろやるべきことがある場合、自分で優先順位をつけ、大切なこと重要なことから始めればやり残したことがあってもそれほど重要なものではないので、結果的に成功したことになります。
ところが重みづけができないと、物事を片っ端から行ってしまいます。この場合、やり残したことが重要なことなら結果は失敗です。
失敗を補う癖が几帳面さにつながる
重みづけができないことは、生来的な「神経機能の弱点」とえいます。子供の頃からそれによる失敗を重ねてきたため、やがて弱点を補おうとやり残しがないようにすべてを完全に行うようになります。それが几帳面という性格を形成してきたと考えることができます。

  1. 優先順位がつけられないという精神機能の弱点
  2. 重要なことをやり残してしまう
  3. 失敗のイメージが残る
  4. 片っ端からやっていく

感情がいつまでも残るタイプ

失敗をしたとき、くやしい気持ちが長く続いてしまう人は失敗をおそれて慎重になり、ますます几帳面になり、大きなストレスを抱えてうつへとつながりやすくなります。

失敗へのそれから慎重になる
几帳面を形成する、もうひとつの要素に「感情がいつまで残る」ということがあります。
くやしさや悲しさなどの感情が長く尾を引き、気持ちの切り替えがしにくいのです。これはものの考え方というようり、その人の生理機能の問題といえます。
このタイプの人は、失敗するといつまでも悔しい気持ちが残るため、失敗をおそれてどうしても慎重になります。このことが几帳面さにつながっていきます。

  1. 感情が残るという生理機能の弱点
  2. 失敗を恐れて慎重になる
  3. ますます几帳面に
  4. 几帳面さと臆病さの板挟み
几帳面さだけでは乗り切れない
これまで几帳面さでさまざまな困難を乗り切ってきても社会人、家庭人になってストレスが増えるとそうはいかなくなります。
几帳面さで乗り切ろうとがむしゃらになればなるほど、ストレスのプレッシャーは大きくなり、やがてうつ病へと進んでしまいます。

うつ病 に似た 心の病

うつ病の周辺に心の病

抑うつ感がひどく、うつ病を疑って受診すると、違う病名を告げられることもあります。うつ病に発展するもの、似ているが違うもの、うつ病に関連する心の病気も様々あります。

抑うつ感が強い心の病はたくさんある
うつ病と似たような症状をあらわす心の病は、たくさんあります。いずれも抑うつ感が強く、日常生活に支障をきたすものです。
これらの中には、心身症のようにうつ病とは明確に区別されているものもあります。
うつ病につながるもの合併するものなど多様
心の病にはうつ病にはいるもの、やがてうつ病になる可能性のあるもの、うつ病との区別が議論されているものなど、うつ病と深く関係しているものがあります。
たとえば、気分変調症はうつ病のひとつとして考えられています。マタニティーブルーや引きこもりは、うつ病に発展する可能性があり、慢性疲労症候群は、うつ病と合併しているのではないかとの味方もあります。

うつ病を判断するポイント

日常生活に支障が出るほどの強い抑うつ感が2週間以上続く

メモ 燃え尽き症候群について

症状が似ているもののひとつに「燃え尽き症候群」があります。
見た目はうつ病と似ていますが、心の病ではありません。強い責任感のもと、長期間、大変な緊張感を持続しながら職務にあたったことで、心のエネルギーが燃え尽きてしまうものです。
その結果、感情がなくなり、自分を責め、対人関係ではストレスが生じないよう事務的、機械的になります。薬や酒に逃避してしまうこともあります。
責任感が強くがんばり続ける人は、燃え尽きてしまわないように注意が必要です。

うつ病周辺の心の病

心身症
ストレスなどが原因で、体に明確な病気があらわれるものです。
イライラする、ゆううつになるなどの精神的な症状もあらわれますが、それほど重くなく心の問題に気づかないこともよくあります。
気分変調症(抑うつ神経症)
うつ病のようにはっきりとした気分の落ち込みではなく、なんとなく憂うつで悲観的に考えてしまう状態がだらだらと長く続いてしまいます。
うつ病と違い、日常生活はきちんとできています。うつ病に進展するケースもありますが、自然に治ることもあります。
マタニティーブルー
出産の後に起こる一時的なうつ状態を指します。ホルモンバランスの崩れから起きるもので多くは10日間ほどでよくなりますが、うつ病に移行するケースもあります。
慢性疲労症候群
検査をしても異常がないのに、ひどい疲労感が慢性的に続く状態ですが、気分の落ち込みなどうつ病同様の症状も出ます。発熱やのどの痛みなど、感染症のような症状もあり、心の病ではないとの見方もあります。慢性疲労症候群について
ひきこもり(不登校)
うつ病は子供にも起こります。それによって学校に行けないケースもあります。ただ、子供は症状を明確に伝えられないだけにうつ病か否かの判断は難しくなります。

うつ病以外の心の病

心の病とはまっったく無縁という人はどのくらいいるのでしょう。最近はうつ病が増えているとはいえ、ストレスが多い現代、抑うつや疲労感がどんな心の病に進展するかわかりません。

ノイローゼ

不安神経症
増えている心の病。いきなり理由もなくたまならなく不安にになってきます。パニックを起こすことも。発作的に不安にとらわれる人といつも軽い不安につきまとわれる人がいます。
心気神経症
ささいな不調をみつけ自分が病気だと思い込み、検査や受診を繰り返します。実際には健康で異常が発見されないことが多いのですが、医師の見落としだと悩み医師や病院遍歴を続けます
強迫神経症
手がよごれているような気がして何度も洗わずにはいられないなど、自分でもおかしいと思ってはいます。日常生活に支障が出て疲れ切ってしまってもやめられません。
摂食障害
ダイエットをしているうちに本当に食事がとれなくなったり、逆に大量に食べてしまったり、お腹がすいていないにもかかわらず食事がふつうにとれなくなってしまいます。
ヒステリー2
麻痺やけいれんなどの病気のような症状がでていても検査場は見つかりません。ひどく悩んでいる心の状態がそのような形ででるのです。一般の人が想像するヒステリーとは違います。

精神分裂病

統合失調症
心の病のなかでもっとも患者数が多い。幻想や妄想にとらわれたり、緊張が続くなどの症状。若いときに発病しやすい傾向があります。

仮面うつ病

心の不調が体の症状としてあらわれる

心だけでなく体にもさまざまな症状があらわれます。身体症状は、早朝にあらわれやすく、そのかげにうつ病が隠れていることもあるので、体の不調にも注意が必要です。

身体症状からうつ病が発見されることも
うつ病の患者さんは、精神的な問題だけでなく、必ずといっていいほど身体的な症状も訴えます。
精神的な変化より前に、身体症状があらわれることも多々あります。
体にあらわれるシアンは多用です。具体的な症状は次のとおりです。

  • 頭が痛い
  • 不眠
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 首や肩のこり
  • 味覚異常
  • 口が渇く
  • のどの不快感
  • 動悸・息切れ
  • 吐き気・嘔吐
  • 関節の痛み・しびれ
  • 呼吸が苦しい
  • 胸部圧迫感
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 胃部不快感
  • 便秘・下痢
  • 腰や背中の痛み
  • 頻尿・排尿困難
  • 性欲減退
  • 疲労・脱力感・倦怠感
  • 冷え
  • 体重減少
身体症状だけの仮面うつ病
身体的な症状が前面に出て、精神的な症状があまり感じられないこともあります。このような場合、心の病ではく、体の病気だと考えてしまいがちです。本来はうつ病なのにしれが身体症状に隠れているケースを「仮面うつ病」といいます。

体の不調としてあらわれる

体にあらわれる症状は、つねに一定したものではなく、苦しい場所があちこち変わることが多くなっています。また、それぞれの症状は、多くの場合、なんとなく重い、なんとなく痛いといった漠然とした不快感です。

体のSOSはうつ病と診断されにくい

身体的な症状がめだつと、だれでも体の疲労かな?と思ってしまいます。専門外の医師だと身体的症状に隠れた仮面うつ病を見過ごし、違う病気だと診断してしまうことがあります。

うつ病が発見されないケースの例

  1. 受診
  2. 問診で見当がつかない
  3. 検査
  4. 異常なし
  5. わずかな症状に着目
  6. 誤診

誤診されやすい病気は

    • 低血糖症
    • 不眠症
    • 心臓神経症
    • 狭心症
    • 胃下垂
    • 便秘症
    • 脳腫瘍
    • 脳動脈硬化症
    • メニエール症候群
    • 更年期障害
    • インポテンス
    • 神経性膀胱炎

など

身体症状が前面に出た仮面うつ病
身体的な病気にみえるうつ病を「仮面うつ病」といいます。
うつ病の方が仮面のように無症状だからこう呼ばれると思っている人も多いのですが、これは全く異なります。
本当はうつ病なのに身体的な病気のような仮面をかぶっていてわかりづらいという意味です。
内科を受診して誤診されてしまうケースも
本人は、うつ病と気づいていないので体の病気だと心配し、内科や自分の症状にあった診療科を受診しがちです。
しかし、本来はうつ病なので、さまざまな検査を行っても異常は発見できません。
このようなとき、心の病に詳しい医師ならうつ病の可能性をかんがえるのですが、そうでない場合は、あらわれている症状だけで判断するので結果、誤診となってしまうのです。
異常がないからうつ病だともいえない
内科的な検査の結果、異常が発見されない場合、うつ病を疑って治療してみると、身体的な症状がうそのように消える場合もあります。そのことで仮面うつ病だったということがわかることが多いのです。
ただ、検査で異常がないからといって早計にうつ病だと判断できるわけではありません。専門的な診断が必要なのです。