うつ病も早期発見、早期治療が大事
治療しないまま放置しておくと、重症化して治療が困難になり、自殺の危険性も高くなります。治療法が確立されているので、症状があったら早期に精神科を受診しましょう。
- 早期発見・早期治療が大原則
- うつ病は、病気の重症化と自殺を防ぐために治療が必要です。
心の問題だからと気力でなんとかしようとするのは大間違いです。この病気は脳の風邪であり、脳にトラブルが起きているのがうつ病です。
そのトラブルを治す薬があるのですから、うつ病と思われる症状があったら早めに受診しましょう。
- 偏見や誤解をもたずに精神科を受診しよう
- 受診は、総合病院の精神科か精神科のクリニックがよいでしょう。精神科というといまだに抵抗かのある人が少なくありません。しかし、風邪をひいたら内科に行くのと同様です。
こんな様子ならうつ病を疑ってみる
うつ病の回復や再発予防には、周囲の人のサポートも必要です。病気のサインは、本人よりむしろ周囲の人のほうが先に気づくことも多いので、まず周囲から受診をすすめてあげる必要があります。
- 苦しくてもまわりに助けてを求めることが多い
- 症状が軽いうちは、本人は心身の変化を感じないことがあります。
また、変調を自覚しても周囲の迷惑をかけたくないと思い、あまり助けを求めません。
しかし、周囲の目には、口数が少なくなってイライラしている。仕事の能率が落ちたり、ミスが増えたりして弱きな言動が増えたりします。明かにいつも違うとわかります。
- 理論的に説得するのがよ方法
- 本人に聞いても、「大丈夫」というでしょうかが、うつ病の疑いがあることやきちんと治療すれば治ることを説明し、休養や受診をすすめます。
うつ病になりやすい人はまじめなのできちんと説明すれば聞いてくれます。
自殺という最悪の事態を防げるかどうかは周囲がいかに早く気づくかにかかっています。
「コラム」ほほえみうつ病
うつ病なのに、顔はいつもにこにこしている場合があります。これを「ほほえみうつ病」と呼ぶことがあります。ほんとうはとても苦しんでいるのですが、必死に努力してほほえんでいるのです。
これも、うつ病になりやすい人の性格からといえます。周囲に気を遣い、なんでもまじめに一生懸命やってしまうのです。
こんな様子に注意
- だらしない印象になってきた。うつになると入浴や身だしなみに気を使わない
- 絶対におもしろいはずのことでもつまらなそうにしていて笑顔にならない
- いつもきちんとやっていたことができなくなり、ぼーっとしている。
- じっとしていられなくて不機嫌な顔で同じところをうろうろしている。
自分に合った療法を根気よく続ける
うつ病の治療は、休養して薬をのめば終わりというものではありません。ストレスがきっかけになっているので、さまざまな精神療法をおこない、本人自身に心の問題に気づいてもらいます。
- 医師と患者が双方で共に考える
- 精神療法というと特別な療法をイメージするかもしれませんが、基本は医師と十分に話し合うことです。
医師はすぐに役立つようなアドバイスをしたり、生き方を導いてくれるわけではありません。あくまで患者さんにあります。
生活のこと、考え方などを医師に話しておきます。
それによって患者さん自身が自分の心のあり方に気づき、自分に自信をもったり、今後の生活の仕方などを考えて考えていくのです。
- すぐに効く方法などはない気長に。
- 精神療法はさまざまあります。どの方法を用いるかは医師の流儀によりますが、いずれにしても一朝一夕に効果が現れるモノではありません。
各種の精神療法は受け身のものではなく、あくまで患者自身の気づきを助ける手段なのです。
主な精神療法
- 家族療法
- 患者本人だけでなく家族もともに受ける
- 認知療法
- うつ病の治療のためにつくられた療法
- 森田療法
- 古くからある日本独特の精神療法
- 音楽療法
- 音楽を聞いたり演奏したりしてリラックスし心を癒やす
- バイオフィードバック
- 機械を用いてリラックスする訓練
- 行動療法
- 行動主義心理学に基づく行動訓練
- カウンセリング
- カウンセラーと話し合ううちに自分で立ち直らせる
- 箱庭療法
- 砂や木、石などを使って箱庭をつくる。
- 内観療法
- 自分の心を静かに見つめることで問題点に気づかせる
電気を利用した物理療法も有効な手段
電気などで脳に物理的な刺激を与え、神経伝達物質の状態を改善する治療法があります。抗うつ薬があまり効かない場合などに大変効果を発揮します。
- これまでの通電療法が改善されている
- かねてから精神科には脳に通電して刺激する治療法がありました。かつては一般にあまりよいイメージをもたれていませんでしたが、現在ではこれまでの手法より安全に改良した、修正型通電療法が確立しています。
- 効果的で安全な修正型通電療法
- 修正型通電療法は、抗うつ薬が効きにくく、自殺する可能性の高い方には有効です。以前の修正型通電療法では電気を通すと全身がけいれんを起こすという問題がありました。しかし、修正型通電療法では通電前に筋肉を弛緩させる薬を使用するのでけいれんは起きません
体はけいれんしませんが、脳では電気の刺激でけいれん発作と同じような反応が起きます。それにより、セロトニンの働きが活性化されます。
- 入院治療
- 修正型通電療法は、入院し、全身麻酔をかけて行われます。早急な治療が必要なときは週3回以上、それ以外は週1~2回全部で6~10回通電します。
磁気刺激TMS
電気のかわりに磁気を脳に起こる治療法があります。頭部に磁気コイルをのせ、強力な磁気を100回ほど脳に送ります。磁気は皮膚や頭蓋骨を通ると脳内で電流になり、通電療法と同じような効果が得られます。
この治療法のメリットは、危険性がないので、入院せずに外来で行えます。
音や振動も感じることがなく受けられます。健康封建は適用外ですが、欧米では盛んに行われ一定以上の効果を得ています。
光刺激療法
人工的な強い光を2時間くらい当てる治療法です。
うつなどの感情障害や睡眠障害に効果があります。
季節的にうつがあらわれるようなタイプの場合、朝に光を照射すると比較的効果があらわれやすいです。