ストレスはうつを加速させ、複雑化してしまう

ストレスには、たとえば子どもが白血病にかかっていると告知されることから、伴侶の浮気を発見することまで、またあなた個人が極めて緊急なストレスを感じる状況まで、いろいろなことが含まれます。

私たちはこうしたストレスを、直接自分で、あるいは無意識に自分でもたらしているのです。なかには、すべてのストレスは自分の罪と無責任ゆえにもたらされたと考える人もいますが、これは賢い考え方とは言えません。

もし、子どもが白血病で死に行くとわかった親が助言と慰めを求めてきたら、私たちは心の底から、彼女とともに悲しむでしょう。病気や死は彼女の罪の結果などではなく、人が生まれたり恋に落ちたりするのと同じく人生の一部であることを彼女に告げるでしょう。

なぜかと言うと、子どもの死は、親が犯した何らかの罪の裁きに違いないと、誤って考える人がいるからです。

そう考えることは間違いです。一方、週に2回夫に殴られていると言って助けを求めにくる女性に対しては、私たちはもしかしたら彼女は受動攻撃性人格で、無意識的に夫の爆発的行為をひきおこしているのではないかと(もちろん、夫の責任は少しも減らないわけですが) 疑ってみることがあります。

こうしたタイプは、夫は暴力行為におよんだあと、非常に後悔を感じ、その後数週間は妻にやさしくします。その間、妻はまわりの人から自分が何よりもほしい同情を得て、無意識の欲求を満たしているのです。彼女は自分自身の罪悪感を晴らし、すべての男は父親と同じく女を殴るものだということを証明しようとしているのかもしれません。

ほとんどの人は、自分の異性の親とよく似た人と結婚します。その親がどんなにひどい親であったとしてもです。そして、虐待された子どもはしばしば、大人になって虐待の加害者と結婚します。

歴史をくりかえすのです。これは精神科医が毎日のように出くわす状況の一例にすぎません。私たちは、自分で自分の人生をコントロールしていると思っている人間に会いますが、実際には彼らは無意識の動機に支配されるままになっているのです。

普通、人間はストレスの原因を、生きることを耐えがたいものにする何らかの外部環境に求めようとしますが、カウンセラーなら、そのストレスに影響されないために、本人ができることを探すべく、本人の心(無意識の思考、感情)に焦点を当てるでしょう。なかには、専門家のカウンセリングを受けることを好まず、ばかにする人さえいますが、これもまた自分自身の防御のしわざなのです。知識のある聖職者や専門のカウンセラーの援助を得ることは、人生の圧倒されそうなストレスを克服する助けになるのです。

良質のカウンセリングを得て、それを人生にあてはめていくことは、人生の師を得ることと同じです。愛に満ちた洞察力のある友人、牧師、カウンセラー、ときに精神科医らによる問題への直面化を通じて、多くの人々が救われるのです。科学的研究によれば、深刻なうつの85% がストレスによってもたらされることを示しています。さらに自殺を企てる人の環境は、極めてストレスの多い状況であることがわかっています。以下は、うつの原因としてよく見られる大きなストレスをリストアップしたものです。

大切なものの喪失
うつをもたらすもっともよく見られるストレスは、愛する人の死や離婚などの重大な喪失体験です。

うつをもたらすもっともよく見られるストレスは、愛する人の死や離婚などの重大な喪失体験です。

昇進は、新しい役職で頑張らなければならない、しかし自分の能力では無理だと感じるなど、大きな脅威になり、かなり落ちこむ理由になることがあるかもしれないのです。

怒りが自分の内面に向かっている
深刻な喪失には、さまざまな反応がおこります。気づいているいないにかかわらず、何らかの怒りの反応をすることもあります。

この怒りが抑圧されると、うつになるのです。つまり、
重大な喪失を経験した際、それと向き合わなかったり、誤った対応をとるとうつとなるのです。

たとえば、ある人が死んだ人に怒りを抱いていたとします(親、兄弟との死別を体験する子どものほぼ全員が、カウンセリングを必要とします。数年間続くような、そして命日のたびに悪化するようなうつを防ぐためです)。死人に怒りを表すことは、自分にとってとても受け入れがたいことであるため、怒りは内側に向かい、その結果がうつとなるのです。

子どものとき虐待された人もまた、かなりの怒りが内側に渦まいています。そして自分は「くず」で、いじめられて当然だと誤って信じこんでいます。このテーマに関する多くの文献で、うつは内側に向けられた怒りであると記されています。

たいていの場合、怒りはうつの人の顔の表情、声、ジェスチャーなどに明らかに表れます。相当な怒りを持っているのですが、普通その怒りに気づきません。かえってそのことを指摘する精神科医に向かって腹を立てたり、感情的に否認したりします。もし自分自身をビデオで見ることができさえすれば、自分の強烈な怒りを認めることでしょう。本人はまた防御的であることも否認するでしょう。この怒りとどう対処するかは、後ほど。

自己イメージが傷つけられる
うつを加速させる出来事として、「自己イメージの傷つき」があります。離婚した人の多くは自分が拒絶されたと感じ、自己イメージが傷ついています。外部状況に直撃された結果、自己概念が低下するのですが、これはまた内側からもおこり得ます。

たとえば、私たちが罪を犯すと、良心が痛み、自己イメージは自動的に低くなります。この状態は、その罪が神と自分自身によって許されるまで続きます。ある患者の例ですが、その患者は2ヶ月間うつ状態が続いていると訴えました。

私たちは「この2ヶ月間、何をなさってきましたか? それがうつの原因だとも考えられませんか? 」と尋ねました。するとその患者は驚いたふうに、「実は愛人と関係を持っていたんですが、それとうつとが関係あるとは知りませんでした」と言うのです。その後、彼は愛人との交際をやめ、また自分自身をも許すと、うつは消えたのです。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉は、重大なストレスを受けて、非常に不安、うつ状態になっている状態を表すときに用いられます。私たちはみな、ときに深刻な問題を経験し、不安にかられたり、落ちこんだりします。しかし普通私たちは問題に対処でき、それがぅっに発展する前に何とか対処できるのです。しかし、深刻なストレスは、悪夢、パニック障害、うつにつながります。
偽りの罪悪感を持つ
前述したように、強迫神経症の人は自分に厳しく、批判的です。心配性で偽りの罪悪感に陥りやすく、しまいにはこの心配と偽りの罪悪感が自分に向かうようになります。ある意味で、彼は自分に歯向かっているのです。不健康にも良心は自分に歯向かい、やがて弱体化して、うつがもたらされます。
真の罪悪感を持つ
真の罪悪感はうつの原因になりえます。うつをひきおこすに至った真の罪悪感は、道徳的、倫理的あるいは宗教上の罪を犯した人の正常な反応です。事実、罪を犯して、真の罪悪感にかられない人は、回復が困難です。正常に反応する人たちが、罪と真の罪悪感のためにうつを患うのです。
誤った見方
患者の多くに共通して見られるうつをひきおこす原因は、誤った物の見方です。私たちは豊かな社会に生き、多くのかたよった情報や誘惑にさらされています。そのため、容易に誤った見方におちいってしまうのです。

ここでまとめましょう。多くの人々は、ストレスがおこつて疲労回復するまで何年もうつと対処し、戦い続けます。

うつが結果としておこった場合、その誘因となっているストレス(それが何であれ) はつねに、抑圧された怒りによるものです。積み重なったた怒りは、うつの大半に見られます。大半のストレスは、自分自身の極めて微妙な、無意識の、自己破壊的態度、感情、行動パターンによってもたらされます。

しかし人生には、たとえば愛する人を失うとか、自分自身の死と向き合うなど、私たちが村処しなければならない十分すぎるストレスがあります。ストレス誘因に、もし私たちが責任もって対処すれば、うつをひきおこすことはありません。くりかえしますが、幸福は選びとるものなのです。

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