アリシン・硫化アリル やっぱり効果的 ニンニク、タマネギパワー

ニンニクや玉ネギが放つ刺激成分には、血液をきれいにしてくれるパワーがあります。毎日の食卓に、どんどん登場させてください。

血小板の凝集を抑え、血栓を防ぐ

硫化アリルはイオウを含んだ化合物の一種で、独特の匂いがあります。食欲をそそるニンニクの香りも硫化アリルのひとつ、アリシンによるものです。

ニンニクがからだによいことは古くから知られていますが、アリシンだけとってみても、いろいろな効能があります。血小板の凝集を抑えて血栓をできにくくする、善玉コレステロール(HDL)を増やし、悪玉コレステロール(LDL)を減らして動脈硬化を予防する、傷ついた血管壁を修復する、末梢血管を広げて血流をよくし、冷え症などを改善するといった作用があります。

また、「天然の抗生物質」と異名をとるほどの強力な抗菌・殺菌作用は、数千年も前から活用されてきました。

玉ネギを切ったときに発生する催涙性物質からも、硫化アリルの仲間が生まれます。ニンニク同様、血栓をできにくくする働きが期待できます。
玉ネギには血糖値を安定させたり、活性酸素を除去する効果も認められています。個性的な味わいの野菜たちのもつ、個性的な力をどんどん利用しましょう。

摂取量

ニンニクは1 日1片くらいが適量。一度にとりすぎると、腸内の善玉菌まで減ってしまうおそれがあります。高脂血症、糖尿病の人は、玉ネギを1 日2分の1個程度食べるようにしましょう。

ネギ属を中心に。スパイシーな野菜を活用して

長ネギ、ニラなど、匂いの強い香味野菜も、ニンニクや玉ネギの成分と同じような効能が期待できます。硫化アリル以外にも、香味野菜のもつ成分には、血液をきれいにする働きがあります。

たとえば、ショウガには、香りからのもとになるジンゲロン、辛みをもたらすシンゲロールという有効成分が含まれています。毛細血管を拡張させ、血行を促進、発汗作用を高めて新陳代謝を活発にしてくれます。トウガラシのカブサイシンも、新陳代謝を高めるのに有効です。

ニンニクは油でパワーアップ。玉ネギは切ってから15分以上おいて使う

ビタミンEたっぶりの植物油を使った炒めものには、ニンニクを加えるようにしましよう。ニンニクのもつアリシンは、体内で脂肪とくっつくと脂質アリシンとなって、抗酸化作用を発揮します。
脂質アリシンと脂溶性のど夕三ンE がいっしよになると、抗酸化力がよりアップして、悪玉コレステロール(LDL)の排泄カミ促されるからです。また、玉ネギは、切ってから15分以上放置してから調理に使うようにすると、血栓防止に働く成分が壊れにくくなります。

クエン酸 血中の「疲れのもと」を消す効果がある

食品に酸味をもたらす成分のひとつにクエン酸があります。酸っぱさのもと、クエン酸には、疲労回復はもちろん、血液をきれいにする効果もあります。

燃えかすを出さずにエネルギーをつくる

酢の効用が見直されていますが、その効能のもとになるのがクエン酸です。ブドウ糖が燃えてエネルギーが生まれることは、もうご存じですね。

でも、ブドウ糖だけあればよいというわけではありません。ブドウ糖が燃えるためには、ビタミンや酸の働きが必要です。燃焼過程にかかわる酸は、まずクエン酸から始まって、全部で8種類の酸に順番に変化していき、エネルギーをつくり終えると、再びクエン酸に戻るというしくみがあります。

これを「クエン酸サイクル」とよんでいます。ブドウ糖の燃えかすが残らないようにするためのしくみです。ブドウ糖の燃えかすは、乳酸などの疲労物質に変化して血液中に漂い、肩こりや疲れの原因に。食品から積極的にクエン酸をとると、クエン酸サイクルが強力にまわりはじめます。そのため燃えかすができにくくなり、疲れにくくなる、というわけです。腸の働きを活発にしたり、ミネラル類の吸収を助けるのにも、クエン酸が効きます。

クエン酸の摂取量

1日1回以上は酢を使った料理を食べるように心がけましょう。疲労がたまっているときは、酸味の強い食材をそのまま食べてみて。

酸っぱい食材に含まれている

クエン酸は、身近な酸っぱい食材に含まれています。酢をはじめ、梅干し、レモンなどの柑橘類などが手軽な補給源です。

料理にも酢を活用

酢のもの、マリネ、南蛮漬け、酢豚、すしなど、酢を使うメニューを増やしましよう。食卓には、しょうゆやソースだけでなく、酢も常備しておきましょう。つけじょうゆは酢で割ったり、ドレッシングにさらに酢を追加したりと、酢を使う機会を増やしやすくなります。血圧が高い人は酢を上手に活用することで減塩になります。
酸味を利用する | 減塩食にチャレンジ – 高血圧を改善する方法

ミネラル類 各種ミネラルはバランスが大事

きれいで元気な血液をつくるのに必要なミネラルは、鉄以外にもいろいろあります。ただし、多ければ多いほどよい、というわけではありません。

絶妙なバランスをくずさないようにする

ミネラルにはさまぎまな種類があり、互いにバランスをとりながら、からだの働きを調整しています。もちろん血液や血管への影響も大きい栄養素です。ミネラルをとるうえで、いちばん注意したいのは、絶妙なミネラルバランスをくずしてしまわないようにすることです。

たとえば、高血圧をまねく原因のひとつに、ナトリウム(塩分)のとりすぎがありますが、カリウム不足も血圧を上げることがわかっています。
カリウムにはよぶんなナトリウムを排泄して血圧を下げる作用があるのです。
必須ミネラル「カリウム」 | 血圧対策

また、カルシウムにはマグネシウムとともに血圧を調整する働きがあります。カルシウムが血管壁の筋肉細胞を収縮させて血圧を上げ、マグネシウムが逆に弛緩させて血圧を下げています。

骨を強くしようと、カルシウムを一生懸命とるときは、マグネシウムの補給も考えなければいけません。ただし、マグネシウムの多い食品をとっても、肉や冷凍食品、清涼飲料水などに多く含まれているリンをとりすぎると、吸収が妨げられてしまいます。

ミネラルの摂取量

食材のかたよりがでないようにすれば、過不足なくとれます。サプリメントでの補給は慎重に行います。

多種類の食材をまんべんなく、とくに魚介類積極的に

食品によって、含有するミネラルのバランスは異なりますが、魚介頬や海藻頬などは、活用しがいのある食材。肉食にかたよりがちな人は、海の幸をとることを心がけて。

血圧を下げるミネラル「マグネシウム」

血圧を下げる。大豆、納豆、種実類こ多い

カリウム

血圧を下げる。野菜や果物に多く含まれている

血液をきれいにするミネラル「亜鉛」

免疫力の働きをアップさせる。カキ、ホタテ、レバー、カシューナッツ、アーモンドなどに多い

クロム

血中のコレステロール値を下げる。ビール酵母、貝頬(アサリ、ハマクリ、カキなど)、キノコ頬、海藻類などに多い

セレン

抗酸化作用をもつ。不定すると免疫力が低下する。魚介頬(ワカサギ、イワシ、カレイ、ヒラメ、ホタテ、カキ、ハマグリなど)、レバー、ニンニク、玉ネギなどに多い
たまねぎは解毒、精神安定、抗酸化作用にも優れ、夏バテ、不眠、シミ、しわにも有効

生鮮食品を食べる機会を増やす

加工食品やインスタント食品などには、リンやナトリウムなどが多く含まれています。「便利だから」と利用しすぎると、ミネラルバランスがくずれがちです。