食事

脂質 魚の脂が血栓を予防する

コレステロール、中性脂肪などの脂質は、多すぎれば血液の汚れを進める最大の原因に。脂質の種類にも注目して、バランスよくとることが大事です。

脂質もいろいろ、バランスが大事

脂質にはいろいろな仲間がありますが、大きくは、コレステロールと脂肪酸の2つにわけられます。中性脂肪は脂肪酸とグリセロールという物質からできていますが、脂肪酸もまた、複数のタイプにわけられます。

さまぎまなタイプの脂質は、それぞれ、からだの中で違った働きをしています。「ダイエットの大敵」と憎まれがちな脂質ですが、とりすぎより欠乏するほうがもっと大問題です。
とりすぎないのはあたりまえ。血液をきれいにするためには、もう一歩進んで、「どんな脂質を、どれくらいの割合でとるか」を考えることが大事です。

とくに注目したいのは魚の油です。魚がもつDHA、EPAという多価不飽和脂肪酸は、コレステロールを下げる働きがあるだけでなく、血液をかたまりにくくし、できてしまった血栓を溶かす作用もあります。
魚を食べる回数を増やすことは、脂質のバランス改善に効果的な方法。まずは、ここから始めてみるとよいでしょう。

摂取量

総エネルギー量の20~25% 程度に。脂肪たっぶりの食材は控え、調理に使う油は、1日大さじ1~2程度にとどめます。

それぞれのグループからバランスよく

脂質のうち、脂肪酸の仲間のバランスに注目して。ひとつのグループにかたよらないようにしましょう。

飽和脂肪酸(肉の脂肪、バター、卵など)
コレステロールは、飽和脂肪酸を材料に体内でも合成されます。だから、飽和脂肪酸のとりすぎは、コレステロールを増やしてしまいます。
不飽和脂肪酸(一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、N6系、N3系)
不飽和脂肪酸は、体内でのコレステロールや… ∩ー6 系や中性脂肪の合成を抑える働きがあります。…ただし、多価不飽和脂肪酸のうち、∩ー6 系が増えすぎると、この効果も半減。逆に∩ー3 系ぱかりでは、酸化が進みやすいというデメリットもあります。
1日1食は魚を主菜に。植物油もかえてみる

まずは、1日1食は魚を主菜にしましょう。さらに調理やドレッシングに使う油の見直しを。コレステロールや中性脂肪を上げにくいとして、特定保健用食品に認定されている食用油は、大豆油や菜種油を加工してつくられたもの。こうした商品を利用したり、オリーブ油を使うのもよい方法です。

血栓の予防にEPA・DHA

糖質(炭水化物)血液をネバつかせる「甘いもの」は控える

疲れているときに、甘いものがほしくなることがありませんか?甘いものは糖質の一種で、即効性のあるエネルギー源になります。でも、食べすぎは禁物です。

甘いものほど、消化・吸収されやすい

私たちは、ブドウ糖という燃料を燃やしてエネルギーをつくっています。このブドウ糖をはじめとする「単糖」が、つながってできたものです。ごはんもケーキも、糖質をたっぷり含むという点では同じです。

ごはんとケーキは似ても似つかないイメージを持っている人も多いかもしれません。たしかに、甘さが全然違います。糖質の仲間には、単糖類、単糖が2個つながった2糖類、たくさんつながっている多糖類の3つの種類があります。

糖のつながりが少ないほど、甘味を強く感じます。ごはんに含まれる糖質は、でんぷんという多糖類、ケーキにたっぷり含まれた砂糖は二糖類。どちらが甘いかは、いうまでもありませんね。糖質は、すべて単糖に分解されて吸収されます。たくさんつながっていれば、それだけ消化・吸収にかかる時間が長くなります。

逆に、砂糖のような二糖類は、消化・吸収のスピードが速くなります。即効性の高いエネルギー源という利点はありますが、半面、急激に血液中の糖分が高まってしまうおそれも。血糖の高まりは、血液を汚す原因のひとつです。

摂取量

総エネルギー量の50% 以上は糖質からとるようにします。主食をしっかり食べていれば、このくらいの割合になります。

穀類、イモ類などを主体に

ケーキや果物などの甘いものは、すぐに消化・吸収されてしまうため、急激に血糖値を上げるもとに。エネルギー源の補給には、甘いものより、穀頬やイモ類を活用して。
でんぶんなどの多糖類は、分解されにくいため、消化・吸収のスピードがゆっくり。食物繊維が多いこともあって、血夜が汚れにくいという特徴があります。主食をしっかり食べておけば、甘いものがほしくなる回数も減るはずです。

主食を胚芽米に変える

エネルギー源になるごはんは、白米より胚芽米がおすすめです。胚芽米は、胚芽米は、胚(種子が発芽する部分)を残した米のこと。この胚芽米を1~2時間水につけておくと、ギャバ(γ-アミノ酪酸)という成分がつくられます。
ギャバには、脳の血流をよくす終審凍る働きや、血圧を下げたり、中性脂肪を減らしたりする作用があります。どうせなら、大きなエネルギー源になる主食を胚芽米に変えて、ギャバの効果も活用しましょう。

タンパク質 大豆を活用しながら適量摂取を

たんばく質は血液や血管をつくる材料。欠乏すれば大問題。だからといって、とりすぎても血液を汚す原因に。過不足なくとることが大切です。

量はもちろん「なにからとるか」も大事

たんばく質は白血球の主成分。欠乏すると免疫力が低下してしまいます。赤血球にも影響が現れます。細胞膜がうまくつくれなくなるため、トゲトゲのあるかたい赤血球が増えてきます。

逆にとりすぎると赤血球同士がくっつきやすくなり、ビョーンと伸びたレモン型に。進行すれば赤血球がベタベタとつながりあい、流れにくさの原因になることさえあります。

過不足なくとること。これが、まず第一の課題です。それに加えて、「なにからとるか」にも注意を。たんばく源というと、ついつい、肉や魚、卵などの動物性食品にかたよりがちではないでしょうか。もちろん、こうした食品も必要ですが、植物性たんばく質の代表選手、大豆や大豆製品も忘れたくないところ。

大豆には、コレステロールの上昇を抑えるイソフラボンや、コレステロールの排泄を促し、血小板の凝集を防ぐ大豆サポニン、さらに、悪玉コレステロール(LDL )が血管壁にくっつかないように働くレシチンなど、血液をきれいに保つ成分がたっぷり含まれているからです。

摂取量

1日あたり、50~70g。多すぎれば血液の汚れをすすめる原因に。少なすぎると風邪をひゆやすくなっったり血行が悪くなります。

大豆の栄養を最大限にとりこむ豆もやし

肉、魚、卵、そして大豆製品、1日で全種類とるように習慣化する

たんばく質は、アミノ酸が集まってできたもの。アミノ酸には、人間の体内でつくることができず、どうしても食べものからとらなければならないものが9種類あります。これを「必須アミノ酸」とよんでいます。肉や魚、卵、大豆製品は、必須アミノ酸をバランスよく含む良質のたんばく源。
1日で全種類とるように心がけましょう。

常備食に納豆を!「ナットウキナーゼ」が血栓を溶かす

大豆をとるときは、納豆の活用がおすすめです。というのも、納豆には、大豆そのものがもつ成分に加え、発酵の過程でできるナットウキナーゼも含まれているから。
ナットウキナーゼには、血栓を溶かす強い作用があり、その効果は血栓治療に使う薬品にもひけをとらないほど。サラサラ血液には欠かせない存在といえます。
ナットウキナーゼの作用は約8時間続きます。夕食に納豆を食べるようにすれば、朝方、血液のネバネバ度が増して生じる血栓防止に効果的です。
ナットウキナーゼで血栓症を予防