便秘解消のための腸浄化

菜食主義への強いこだわりは人体にあまりよくない

世の中は、つくろに足りないものをいちいちほかから持ってきて繕わなくても、もともと自然にあるものを活かしきることで、体はうまく働くようにできているわけですから。もちろん、手放しで「自然食」をすすめているわけではなく、「ストイックな玄米菜食」で体を壊した人もいますから、注意点はしっかり押さえておく必要があるでしょう。

「賢い食べ方」というのは確かに存在します。正確には、どんな食事法にも完壁なものはなく、栄養だけではなく本人のメンタルも深く関わってくるため、必ず「うまくいった人」と「うまくいかなかった人」が出てきます。そうである以上、いくつもの食事法を比較して「どれが正しいか? 」を論じるよりも、「うまくいった人に共通している点はどこか? 」「うまくいかなかった人はどんなパターンに陥りやすいか? 」を探っていくほうが大事。

ダイエットでも同じモノを食べても痩せる人と痩せない人がいるのと同じ理屈です

いくら玄米がいいと論じても、現に私たちの体は、肉や魚からもエネルギーを作り出せます。私たちは草食であるサルの体を母体にしていますが、進化の過程で肉食をおばえ、脳を肥大化させてきました。

牛や馬のように、草しか食べられないわけではありません。自分自身で「何を食べるか」を選ぶことができる主体性を持っているところに、ヒトという生き物の最大の特徴があるのです。

そう考えれば、1つの食べ方にとらわれずに、肉や魚も食べる柔軟さこそ、ヒトとして何よりも必要であることが見えてきます。この柔軟さを保ったうえで、「植物を食べること」「微生物と共生すること」の意味をとらえ直していくと、よりよい食べ方のヒントが次々と見つかるでしょう。

ゆったり深く呼吸することで、若返る

要するに、食事の見直しの第一歩が「植物との関わり方を見直す」ことにあるわ
けです。

そして、もう1つ、植物との関わりで忘れてならないのは「呼吸」をすること、つまり酸素補給の役割です。そもそも、私たちの祖先となった細胞は、ミトコンドリアにこの酸素の処理を引き受けてもらうことでここまで進化することができたわけですから、呼吸(酸素補給)なしにエネルギー代謝の話は成り立ちません。

ちなみに「酸素」は、植物が吐き出した排泄物です。そう、私たちは植物の体(糖や微量栄養素)のほか、その排泄物までもエネルギーに利用して生きています。

もちろん、植物は動物の吐き出した二酸化炭素を利用しているわけですから、形の上では「持ちつ持たれつ」なわけですが、大事なのは、呼吸をすることで生命は進化したという点です。

ミトコンドリア工場を稼働させるには、栄養補給のほか、しっかり呼吸して酸素を取り込むことが不可欠です。「解糖系」の工場にばかり頼っていると、せっかく取り入れた酸素が使用できず、活性酸素がどんどんとたまっていきます。

いや、糖をひっきりなしに取り入れて、ひっきりなしに消費するというせわしない生き方をしていたら、呼吸(酸素補給)の機能がどんどん退化していき、息が浅くなり、ますます解糖系への依存が高まってしまいます。

その挙げ句、過剰摂取した糖の処理ができなくなり、メタボや糖尿病になる。最後は健康寿命さえ縮めてしまう。残念ながら、生物としてあまり賢い生き方をしているとは言えない人が多いはずです。

ビタミン、ミネラルが足りない

ミトコンドリアの工場は膨大なエネルギーを生み出せますが、その工程は非常に複雑です。うまく稼働させていくためには注意点もありますし、工場のメンテナンスもしていかなくてはなりません。つまり、ただ何でもいいから食べて、呼吸していればミトコンドリア工場をフル稼働させられるわけではないということ。

では、何がポイントなのか?ミトコンドリアの主なエネルギー源、炭水化物や脂質をエネルギーに変えるには、植物に含まれる「ビタミン」「ミネラル」「ファイトケミカル」などの「微量栄養素」が欠かせないのです。
日本人の主食、コメの場合は、コメの主成分は糖質(炭水化物) で、この糖質は、腸でブドウ糖に分解されて取り込まれます。その取り込んだブドウ糖をミトコンドリアでエネルギーに変えるには、工場のスタツフとしてビタミンB1が必要です。
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ところが、コメは精製して白米にするとビタミンBlが取り除かれてしまいますから、ミトコンドリア工場は稼働しません。だから白米だけをガツガツ食べていたら、「解糖系」しか利用できないのです。スイーツも同様です。
砂糖も小麦粉も精製されていて、お菓子やケーキにはビタミンB1はほとんど含まれていません。甘いものを食べるとすぐに元気になれるのは、糖を分解するだけでエネルギーが作れる「解糖系」が利用されるからです。ただ、少量のエネルギーしか生み出せないため、すぐにお腹が減ってしまうのです。

要するに、小さな工場「解糖系」だけでエネルギーを生み出そうとするかぎり、餓鬼のようにガツガツと食べ続けなくてはならないのです。でもこれでは体に負担がかかりますし、結果的に心に余裕も生まれません。

よく知られているのは、「血糖値」との関係でしょう。精製した糖は小腸から一気に吸収されるため、血糖値が一気に上がり、これが日常的に繰り返されると血管に負担がかかってボロボロになっていきます。血中の糖を細胞に届けるには、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが必要であり、高血糖状態が慢性的に続けば、インスリンの分泌も過剰になり、やがて、すい臓にも負担がかかってきます。

こう見ていくと、糖尿病と呼ばれる病気や、その延長上にあるメタポリックシンドロームは、「解楯系の使いすぎ」に問題があると見えてきます。逆に言えば、ミトコンドリアさえしっかり働いていれば、血液中の糖も十分に活用することができるということです。そうなれば結果的に代謝が上がるため、肥満やメタボの問題が改善されやすくなるわけです。代謝が盛んな若いころは、すばやくエネルギーが生み出せる「解塘系」にある程度はたよっても問題ありませんが、年を取って代謝が落ちてきたら、エネルギー効率のいいミトコンドリアの工場を稼働させたはうが、体に負担はかかりません。それが健康長寿のカギと言えるのです。

代謝のいい人、悪い人

こうして人とミトコンドリアとの共生が始まったのですが、どうしても欠かせない酸素の処理は決して容易なことではありません。酸素の生き物を酸化させて、死にいたらしめてしまう超猛毒を安全なエネルギーに代えるためには、かなり高度で複雑な技術が要求されます。いったいどう処理しているのでしょう?

ポイントは、水素と結びつくことで水に変化する酸素の性質です。酸素を水素と結合させて、水に変化させてしまえば、もはや酸化の害の心配はありません。つまり、ミトコンドリアは、細胞に運ばれてきた食べ物の栄養素を細かく分解していって「水素」を取り出し、酸素と結合させて無毒化させていたのです。食べ物の栄養素から「水素」を取り出すことにピンとこないかもしれませんが、この世の生き物は基本的に「水素・酸素・炭素・窒素」の4つの元素を材料にして体を作っています。

つまり、この世のどんな食べ物にも必ず「水素」は含まれているのです。たとえば、炭水化物は小腸でブドウ糖に分解されますが、ブドウ糖は、炭素・酸素・水素からできています。ちゃんと水素が含まれていますが、小腸などの消化管で分解できるのは分子レベルまでであり、これをさらに細かい元素レベルにまで分解することはできません。

そこから水素を取り出すのは、非常に困難です。そのため、ミトコンドリアを取り込む以前の原始細胞は、この難しい仕事には一切タッチせず、もっとシンプルに、摂取した有機物(ブドウ糖)を分解することで活動エネルギーに変えていました。この糖からエネルギーを生み出す行程は「解糖系」と呼ばれ、いまでも私たちの細胞のひひとつひとつに備わっています。解糖系工場で作られるエネルギーは、糖が分割される際に出るもので、それほどの量はありません。せいぜい細胞分裂できるくらいの量です。すぐにエネルギーが生み出せますから、瞬発力が必要な場面ではこのエネルギーが有効ですが、長期的に使い続けると体の各部に負担がかかり、故障(病気になるということ)が生じやすくなります。進化して大型化した生物が、ダイナミックな活動を維持するだけの大きなエネルギーを得るには、「ミトコンドリア工場」をフル稼働させる必要があるのです。
では、ミトコンドリア工場は、どうやってエネルギーを作っているのでしょうか?